2015年9月7日月曜日

この夏も、やがてあの夏になる

「この夏も、やがてあの夏になる」
最近中日新聞に出ていて思い出しましたが、仲畑貴志さんのこのコピーは傑作だと思う。

澤田誠 著「なぜ名前だけがでてこないのか」を引用すると、
長期にわたって記憶にとどめられるには、脳内で繰り返し呼び覚まされる必要がある。楽しかった経験は何度も呼び覚まされているうちに、より強く記憶にとどめられるが、辛い記憶を呼び覚ますことは神経細胞にとってはダメージとなり、時には細胞を殺すほどの毒になることもある。辛い記憶を呼び覚まして強化することは脳にとっては不都合であるため、辛い経験の記憶そのものが無くなることはないが、「辛かった」という印象は徐々に薄れていく。

これが場合によって体罰の美化につながることもあり注意が必要とのことですが、自分も病院修業時代はつらいことも多かったと思いますが、今となれば楽しい思い出しかありません。

夏の初め、沢から転落しアキレス腱断裂を発症された患者さんがみえました。「今年はもう渓流釣りに行けない」と嘆く患者さんに対し、今はつらいけどいずれ笑い話になりますよと慰めたことを思い出します。
「あの夏は怪我したけど、接骨院で親切に治してくれたなあ」と長く記憶にとどめてもらえるよう、楽しく、かつしっかり治す努力をしたいと思います。

2 件のコメント:

うめしゅう さんのコメント...

おっしゃるように、つらかったことを美化することはよくあります。
「あのつらいことがあったから今があるんだ。それでよかった。」なんて。
日本人によくある精神なんでしょうかね。
でも、つらかったという記憶が徐々に薄れていくのなら、楽な道を選ぶよりあえてつらい道を選択するのも
ありなのかなとも思います。

亀仙人 さんのコメント...

自分には厳しく、他人には優しく 先生は立派だと思います。