2011年9月26日月曜日

線維筋痛症

線維筋痛症についてみつけましたので転載します。
以下webより引用
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110926-00000004-cbn-soci

線維筋痛症治療の今、東京医大・岡氏に聞く
岡寛さん(東京医科大八王子医療センターリウマチ性疾患治療センター教授)

全身の痛みを主症状とし、不眠やうつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動膀胱などの自律神経系の症状を副症状とする線維筋痛症。原因不明で、いまだ治療法は確立していないが、2009年4月には「日本線維筋痛症学会」が設立され、10年には初の診療ガイドラインが発行されるなど、取り巻く環境は大きく変化しようとしている。
厚生労働省の線維筋痛症研究班で班長を務めた岡寛さん(東京医科大八王子医療センターリウマチ性疾患治療センター教授)に、現在の治療のあり方と今後の展望について聞いた。(島村友太)

―研究班の調査で、線維筋痛症患者は国内で200万人(全人口有病率1.7%)と推計されました。
関節リウマチの患者数が70万人であることを考えても、非常に多いですよね。女性に多い疾患で、発症年齢は働き盛りの40歳代に多く、患者数のピークは50歳代といわれています。小児患者も5%くらいいます。
患者数は多いものの、線維筋痛症は医師の間でもあまり知られていませんでした。06年に行った調査で、東京のプライマリー・ケア医の認知度は40.8%だったものが、09年には55%にまで上昇しましたが、それでもまだ、およそ半分のプライマリー・ケア医は知らないということですよね。また、認知度というのは病名を知っているということなので、実際に診断できるかどうかは別です。
医師が疾患を知らないと、別病名で診断・治療されることが起こります。線維筋痛症の場合、うつ病や、あるいは詐病といって、患者がうそを話していると診断されるケースがあります。検査をして目に見えるような器質的な疾患ではないので、診断が難しいという背景もあります。

医師の診断や治療に納得できない患者は、さまざまな医療機関を渡り歩きます。線維筋痛症患者は平均で7.2軒の医療機関にかかるといわれており、30軒かかっているという患者もいます。こうなると、適切な治療にたどり着くまでに時間がかかってしまいますよね。早期の診断・治療が大事なのは、どの疾患も同じですが、線維筋痛症の場合、発症から1年以内に発見できればかなり改善するので、治癒例もありますが、5年以上たって、風が吹くだけで痛みを感じるようなアロデニアという状態にまでなってしまうと、痛みをゼロにするのは難しくなってしまいます。また、たらい回しにされていること自体、患者にとっては大きな心理的負担になります。
線維筋痛症の可能性を考えてくれる医師の診察を受けられるか。これが患者にとって大きな分かれ目になっています。プライマリー・ケア医の方々への疾患啓発が必要です。

―線維筋痛症は痛み以外にもさまざまな副症状が起こりますが、どの診療科の医師が治療すべきとお考えですか。
線維筋痛症患者は、脊椎関節炎、早期の関節リウマチやシェーグレン症候群など、リウマチ性疾患を合併していることが多いです。患者の痛みの原因は線維筋痛症とリウマチ性疾患のどちらなのかをきちんと鑑別できないと、治療の方向がおかしくなりますから、リウマチの専門医が最初は治療に当たるべきかと思います。
しかし一方で、線維筋痛症に合併する精神的な疾患を、リウマチの専門医がきちんと見抜けるかどうかという問題も残りますよね。本当は精神科に行くべき患者を、リウマチ専門医が抱え込むような事態を避けるためにも、あらゆる診療科目が横並びで、患者が行き来できるような「リエゾン型」の外来をつくるべきです。リエゾン型の外来を行う中核的な施設をつくって、そこからいろいろなところに振り分けていくというモデルケースが必要でしょう。

■治療は「疾患の受容」から
―医師はどのように治療を進めるのでしょうか。
線維筋痛症は、薬を飲めばすぐに治るという段階にまで、まだ至っていません。また、精神状態が大きな影響を及ぼす疾患ですから、患者が疾患を受け入れていないのに大量に薬を投与しても、あまり効かないということが起こります。患者は発症したことへの怒りや、これまでの後悔など、さまざまなマイナスの感情を抱えていますから、まずは治療に前向きになってもらった上で薬物治療に進むことが必要です。

―薬物治療ではどんな薬が使用されるのでしょうか。
「線維筋痛症」の適応症を持つ医薬品はありませんが、線維筋痛症で発現するそれぞれの症状への対症療法として、薬を使用しています。わたしの場合、軽度な患者にはまず、副作用の少ないノイロトロピンを使用します。これで有効なのは2-3割で、効かない人には抗けいれん薬のガバペンチン、プレガバリン、クロナゼパムを使用します。抗けいれん薬には、浮動性のめまいや傾眠の副作用があり、特に高齢者では転倒や自動車事故の原因にもなりますので、注意が必要です。
このほか、三環系抗うつ薬や、痛みのブレーキであるセロトニンやノルアドレナリンを出させる抗うつ薬(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤=SNRI)のデュロキセチンを使用します。実臨床では、抗けいれん薬と抗うつ薬を併用することが多いですね。
一部の医師は麻薬を使用することもありますが、これには賛同できません。線維筋痛症の治療は長期にわたるため、依存をつくってしまう問題があるからです。

―新薬の開発状況について教えてください。
ファイザーのプレガバリンについては7月に、線維筋痛症を対象としたフェーズ3試験の結果が発表されました。プレガバリン自体は既に承認されており、今回は適応追加の承認申請なので、12年の秋ごろには保険で使用できるのではないかと期待しています。
プレガバリンが12年に保険で使用できるようになれば、米国に遅れて5年くらいですね。線維筋痛症治療薬として保険収載された医薬品が登場することで、プライマリー・ケア医の方々に向けた疾患啓発もやりやすくなると期待しています。
また7月には、ヤンセンファーマからトラマドールとアセトアミノフェンの配合剤も発売されました。日本では、▽腰痛症▽変形性膝関節症▽関節リウマチ▽帯状疱疹後神経痛▽糖尿病性神経障害性疼痛―などの幅広い疾患を対象にした臨床試験を行った結果、「非がん性慢性疼痛」という広範囲にわたる適応症を取得しました。線維筋痛症は「非がん性慢性疼痛」の一つなので、使用しても大きな問題はありません。臨床試験では痛み以外にも、心の健康や活力などの生活の質も全体的に上げるということが実証されていることがいいところですね。しかし、臨床試験には線維筋痛症患者が含まれておらず、日本人のデータがそろっていないという点で、臨床的には最後に使う薬だと考えています。

線維筋痛症の治療環境は、20年前の関節リウマチの状況に似ています。20年前はなかなか完治させるのが難しかった関節リウマチも、今ではさまざまな薬が出て、治癒もできるようにもなりました。同じように、線維筋痛症はこれからが過渡期です。疾患の認知度が上がり、治療薬も保険収載されれば、治療環境は大きく変わるでしょう。

2 件のコメント:

tomita さんのコメント...

数年前にニュースステーションの中のミニコーナーでこの線維筋痛症を紹介していました。
その時出てきた若い女性の患者さんもペインビジョンでかなりの高値を示していました。
両親の離婚が引き金になって…というくだりもあって、かなりの部分で精神的な疾患なのではという印象があります。
確か判定基準の中に左右対称な圧痛点が18か所ぐらいあったような気がします。
 
昔、我々がYDSと呼んでいたものの中にも線維筋痛症が潜んでいたのでは・・
痛みの問題はほんとに難しいと考えさせられます。

亀仙人 さんのコメント...

RSDにもノイロトロピンが有効との話がありました。
ぎっくり腰のような鋭い痛みにはあまり効かないような気がしますが、メンタルと関連した慢性痛には効果があるのでしょうか。
言うほど単純な話ではないですが、心身のケアができる柔整師になりたいものです。