2011年4月7日木曜日

急性腰痛ガイドライン

患者さんトリガーポイント注射は効果あるの?と聞かれました。即答できなかったので再度ガイドラインをみてみました。参考に貼り付けます。
医療情報サービス Minds(マインズ)より引用しました。


急性腰痛の診療
研究1:欧米のガイドラインからみた急性腰痛の診療
急性腰痛の治療
急性腰痛の治療に関しては、イギリスのガイドラインのほうが多くの新しいRCTを検討しているので、科学的根拠の順位付けを3つ星システム(イギリスのガイドライン)で各文末に表記する。


1.患者への情報
1)適切な情報提供と助言により、患者の不安を軽減し、治療に対する満足度を向上させることができる。(★★)
2)日常生活制限を要する腰痛は、数日間から数週間で改善するが、軽い腰痛は長期間持続することがあり、数カ月間持続する場合も多い。(★★★)
3)大部分の患者で腰痛は再発するが、それは腰椎の器質的な異常の存在を意味していない。(★★★)
4)約10%の患者は、1年後にも症状の一部が継続しているが、患者の大半は、通常生活をなんとか継続している。通常活動に復帰した患者は、活動を制限している患者よりも、健康になったと感じ、鎮痛薬の使用は減少し、苦痛が少なくなる。(★★)
5)腰痛のために仕事を休む時間が長くなると、仕事に復帰する可能性が低くなる。(★★★)
2.薬物療法
1)パラセタモールとパラセタモール・弱オピオイド化合物は、効果的に腰痛を軽減する。NSAIDとの有効性の比較は一貫していない。(★★)
2)NSAIDは、効果的に腰痛を軽減する。(★★★)
3)各種NSAIDは腰痛の軽減に同様の有効性を示す。(★★★)
4)NSAIDの高容量の使用や高齢者への使用の場合には重篤な副作用が起こる可能性がある。最も多い合併症は胃腸障害である。(★★★)
5)NSAIDは神経根性疼痛の軽減にはそれほど有効性はない。(★★)
6)NSAID単独で十分な疼痛コントロールができない場合には、パラセタモール・弱オピオイド化合物が有効かもしれない。副作用としては、便秘と嗜眠状態などがある。(★★)
7)筋弛緩薬は、効果的に急性腰痛を軽減する。(★★★)
8)筋弛緩薬とNSAIDの有効性に関する比較結果は一貫していない。パラセタモールに対する比較はない。(★★)
9)筋弛緩薬は、1週間の短期投与でも、嗜眠状態、身体依存症などの副作用を誘発しうる。
10)強力なオピオイドは、パラセタモール、アスピリン、その他のNSAIDなど安全性の高い鎮痛薬よりも効果的とは思えない。(★★)
11)強力なオピオイドは、反応時間、判断力低下、嗜眠状態、身体依存症の可能性などの副作用を誘発しうる。(★★)
12)抗うつ薬は急性腰痛における有効性の科学的根拠はない。(★)
3.安静臥床
1)下肢痛の有無に関わらず、急性または再発性腰痛に対して、2?7日の安静臥床は、プラセボあるいは通常活動よりも悪化させる。安静臥床は、代替治療よりも有効ではない。(★★★)
2)長期安静臥床は、衰弱、腰痛の慢性化、リハビリの支障につながることがある。(★★)
4.活動継続の助言
1)通常の活動を継続するようにという助言は、従来の通常活動は痛みによって判断するという助言よりも、症状回復を早くすることができ、慢性化は少なく、休業期間は短くなる。(★★★)
2)短期間(数日または数週間)の段階的再活動化と腰痛の行動的管理を組み合わせると、痛みの程度と機能障害の回復速度にはほとんど差がないが、慢性化は少なく、休業期間は短くなる。(★★★)
3)予定した短期間内に通常の仕事に復帰するように助言すると、休業期間は短縮することがある。(★)
5.マニピュレーション
1)発症後6週間以内のマニピュレーションは、短期間有効であり、患者の満足度を高くする。しかし、どのような患者が効果を示し、どの種類のマニピュレーションが最も有効なのかの科学的根拠はない。(★★★)
2)腰痛に対する6週間以上のマニピュレーションが他の治療にくらべて有効か否かに関する科学的根拠は確定的ではない。(★★)
3)マニピュレーションに熟練した医師が行う場合には、神経合併症のリスクは極めて低い。しかし、重度または進行性の神経障害のある患者に対しては、マニピュレーションを行うべきではない。(★★)
6.運動療法
1)急性腰痛に運動療法が有効か否かは明らかではない。どの運動療法がどの患者に有効かも明らかではない。(★★★)
2)マッケンジー運動は、急性腰痛を短期間で若干改善することがある。(★★)
7.その他の治療
1)マッサージや超音波は、治療効果がない。(★★)
2)牽引は効果がない。(★★★)
3)経皮的神経電器刺激(TENS)の有効性の科学的根拠は確定的ではない。(★★)
4)腰部コルセットまたはサポートベルトが急性腰痛に有効であるという科学的根拠はない。(★)
5)トリガーポイント注射が急性腰痛に有効であるという科学的根拠はない。(★)
6)鍼が急性腰痛に有効であるという科学的根拠はない。(★)
7)ステロイドの硬膜外注射は、局所麻酔薬の併用の有無とは無関係に、坐骨神経痛を伴う急性腰痛の短期間の緩和に効果が高いと思われる。(★★)
8)ステロイドまたは局所麻酔薬の硬膜外注射は、神経根障害を伴わない急性腰痛に対する有効性は証明されていない。(★)
9)硬膜外注射は観血的であり、まれだが重篤な合併症をもたらす可能性がある。(★★)
10)椎間関節注射が急性腰痛に有効であるという科学的根拠はない。(★)
11)バイオフィードバックが急性腰痛に有効であるという科学的根拠はない。(★)
12)腰痛教室は、職業的設定では有効な場合がある。(★★)
13)非職業的設定での腰痛教室の有効性はまだ証明されていない。(★)

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