2012年3月24日土曜日

JET会方針について

今年度のJET会の方針ですが、
1つのテーマを協同で掘り下げていこうということになりました。
上半期は「RICE、初期治療を極める」
というテーマとなりました。
基本的にRICEの教科書(白石先生風の)を作ろうという感じで行きたいと思います。
3つに班分けをしましたので、4月のJET会時にそれぞれ方向性を発表していただきたいと思います。
寒冷療法、温熱療法について
冨田、山守、横田

固定、コンプレッションについて
早瀬、金城、岡田

安静、挙上、その他について
横井、保苅、片桐、加賀

よろしくお願いいたします。

2012年3月23日金曜日

鼻骨骨折

先週の日曜日に自分の友人から電話があり、
サッカー中に人の手が鼻に当たり負傷した。
まわりの人から鼻が曲がっていると言われたがどうすればいいか教えて欲しいとのことでした。
実際みてみると鼻が曲がっており、いわゆる斜鼻型の鼻骨骨折でした。
鼻血もおさまっており、変形も軽度だったこともありそのまま総合病院の耳鼻科の受診を勧めました。

結局近くの耳鼻咽喉科を受診し、そこから紹介され西部医療センターに転医、
本日手術をしたそうです。
術式は鼻の中に棒を入れ、内側と外側から矯正したそうで、痛みも少しだったとのことです。

格闘家の秋山がアメリカかどこかで無麻酔で棒を入れられ整復されたとの話をテレビで見たことがありますが、実際にやることはとても勇気がないし、患者の負担を考えると難しいですね。

2012年3月14日水曜日

分散およびt検定

シャピロウィルク検定で両群とも正規分布に従い、平均が使えることとなりましたので、チャートに従って等分散かどうかの検定を行います。
Leven検定またはF検定を行います。

手順1:まずRコマンダーを起動します。
手順2:アクティブデータセットなしをクリックするとデータセットが選べますので、
シャピロウィルク検定を行う際に作ったデータ名を選択してOKを押します。(この場合歩行速度)

手順3:データが読み込まれましたので、続いて分散の検定をします。
統計量→分散→ルビーンの検定を選択します。

この場合もP値が0.05以上で等分散しているとみなされます。

P値は0.9166で0.05以上のため等分散しているとみなされましたので、チャートに従ってt検定を行えることになりました。

手順4:t検定を行います。
統計量→平均→独立サンプルのt検定を選択します。
するとダイアローグが出ますので等分散と考えますかのyesボタンをチェックします。
そしてそのままOKを押します。

ここでもP値に注目します。t検定の場合、0.05以下で2つの群には差があるという結論になります。今回の場合はP値は0.1217であり、0.05以上となりますので2つの群には差がないという結果になりました。
下部に95%信頼区間も表示されます。

ちなみに統計量→一括処理→2標本の差の検定(パラ&ノンパラ自動選択でも)同様の処理が行えます。今回は有意差がなかったため検討をしませんが、もし有意差が認められた場合は、信頼区間や効果量をみて差の程度を解釈します。
一括処理ではデータの下の方に効果量がでます。(このデータでは効果量大だがあくまで有意差があるときに注目する)

次回はwinstatでt検定を行ってみたいと思います。

シャピロ-ウィルク検定

シャピロ-ウィルク検定(Shapiro-Wilk)についてです。
t検定のようにデータが正規分布にしたがうことを仮定する統計手法を利用する場合は、分析に先駆けてデータの正規性を評価しなければなりません。具体的には、ヒストグラムを描いて形状を正規分布と照らし合わせる方法と、仮説検定による方法があります。検定の結果P≧0.05(P値が0.05以上)であれば実質上正規分布に従うと仮定できます。

シャピロ-ウィルク検定のためには統計ソフトが必要となります。
無料で行いたいのでいろいろ試行錯誤しましたが、下記URLの改変Rコマンダーが秀逸です。
http://www.hs.hirosaki-u.ac.jp/~pteiki/research/stat/S/
ページ下の方、改変Rコマンダーのインストールの こちらからダウンロード(5~15分ぐらいかかります)をクリックして下さい。
後は解凍後に作成された「まずこちらをご覧ください」というパワーポイントがありますので、その指示に従ってインストールを完了させて下さい。
ちなみに当ブログ作成にあたり参考にしている、月刊 理学療法の「よくわかる研究法」の執筆者の方のホームページです。

立ち上げるとコマンド入力の訳がわからないようなソフトの気がしますが、なれればある程度混乱無く使えます。
まずは手順に沿って入力してみて下さい。

手順1:ファイルの準備
エクセルで以下の様に入力して下さい。前回の歩行速度のデータです。
その後このデータを群・歩行速度もふくめて選択しコピーして下さい。
Rコマンダー内でもデータ編集できますが、エクセルで行った方がやりやすいようです。

手順2:Rコマンダーを起動し、コピーしたデータを貼り付けます。
メニューリストのデータ→データのインポート→テキストファイルまたはクリップボード、URLからを選択すると、ダイアローグがでますのでデータセット名を適当(ひとまず歩行速度としてください)につけ、クリップボードからを選択しOKを押します。

手順3:メニューのデータ→アクティブデータセット内の変数の管理→数値変数を因子に変換を選択し、
出てきたダイアローグに群を選択→数値でを選択、OKを押して下さい。すると上書きするかたずねられますので、yesをクリックして下さい。
手順4:メニューの統計量→一括処理→群分けしたShapiroーWilk検定をクリックして下さい。その後ダイアローグが出ますのでそのままOKを押して下さい。

データの見方
$`0`が0群すなわち筋力トレーニング群です。$`1`が1群すなわち筋力トレーニングなし群です。それそれP値をみて0.05以上であれば正規分布に従うと判断できます。




2012年3月13日火曜日

t検定

t検定はスチューデントのt検定(Student's t-test)とも呼ばれますが、これは統計学者のウィリアム・ゴセットが雇用者であるギネスビール社に本名使用を許されずStudent というペンネームで最初の論文を発表したためだそうです。
t検定は例えば筋力トレーニング群とトレーニング無し群で1ヶ月後に改善した最大歩行速度の平均に差があるかないかを調べたり、
バナナダイエットをして元の体重の平均と1ヶ月後の体重の平均に差があるかどうかを調べるときなどに使用します。

t検定を行う前に前提条件がありますので確認しておきます。
まず2標本の差の検定をおこなうのか、対応のある2変数の差の検定をおこなうのかによって計算が違ってきます。
2標本の差の検定は上記で言えばトレーニング群とトレーニング無し群のように両群が全く異なる対象者の場合に使用します。この場合nの数が等しくなくてもかまいません。
対応のある2変数の差の検定は1つの群を対象とします。つまり上記のバナナダイエットのように同じ人達でダイエット前の平均体重とダイエット後の平均体重を測定し、その差があるのかないのかを知りたい場合使用します。当然ダイエット前とダイエット後の人は別人であってはならず、ダイエット前のnとダイエット後のnは等しくなります。

次に、
t検定は2つの母集団がいずれも正規分布に従っているときに、平均が等しいかどうかを調べる検定であるため、まず正規分布(正規分布の時には代表値に平均を用い、非正規分布の場合には代表値として中央値を使用します)かどうか調べる必要があります。
標本が正規分布に従うかどうかは、シャピロ-ウィルク検定などの正規性検定によって判断します。シャピロ-ウィルク検定については次回に述べたいと思います。

次に、
等分散するかどうかを調べます。等分散とは、漢字を見て分けるとおり等しく分散しているということです。つまり、それぞれの群の分布の形が似ているということです。(下図参照)
2標本の差の検定の場合、「正規分布である」「等分散である」の二つの条件が必要です。そのため、たとえ正規分布していても等分散でなければt検定を使えません。この等分散かどうかを調べるためにF検定やルベーン検定があります。もし、これらの検定で「等分散でない」と検定されたなら二標本t検定ではなくてWelch法等で検定しなくてはなりません。

2012年3月6日火曜日

差の信頼区間の出し方

もう少し簡単に信頼区間をだせないか?
と思う方も多いと思います。
以下のホームページで下の方にいくと、
2つの集団の平均の差の推定(標本サイズが大きいとき:2つの標本サイズがともに30以上)
2つの集団の平均の差の推定(標本サイズが小さいとき:少なくとも一方の標本サイズが30未満)
というリンクがありますので、サンプルサイズに合わせてクリックして下さい。下図のようなエクセルのシートがダウンロードされます。
http://toukei.umin.jp/

(図をクリックすると拡大されます)
自分のデータにあわせて数値を修正すると信頼区間が表示されます。
エクセルのデータ入力もそれほど難しいものではないと思いますが、
やり方がわからない方は知っている方に聞くか、コメント欄で質問して下さい。

差の信頼区間


前回の信頼区間では、真の平均値が95%や99%の確率で、どこからどこまでの範囲にあるということがわかるということでしたが、信頼区間を利用することによって真の差がどのくらいの範囲にある可能性があるかを示すこともできます。

例えば膝損傷で大腿から下腿のギプスを巻いた患者さんで、大腿四頭筋の筋力訓練を行った群と行わなかった群では1ヶ月後の最大歩行速度の差がどれくらいあるのかという場合などです。信頼区間によって真の差を含む値の範囲を示します。



具体的にやってみたいと思います。

ギプス除去直後に歩行速度を測定し、1ヶ月後にどれくらい歩行速度が速くなったかを測定します。

A)大腿四頭筋筋力強化群(n=5) 12.015.020.022.016.0(m/分)

B)トレーニング無し群(n=5)10.09.012.020.011.0(m/分)

大腿四頭筋筋力強化群の平均は17/分、トレーニング無し群の平均は12.4/分です。差は4./分です。

トレーニング無し群でも筋力強化群より歩行速度が速くなったものもあり、この結果だけで筋力強化群が改善度が高い(すなわち有効である)という結論を出してはいけないのは、皆さんご存じの事だと思います。ここで統計学的な処理が必要となります。



細かい計算の説明は省きます。下図の様にエクセルに当てはめていきます。

手順1:標本Aと標本Bのデータを入力します。

手順2:サンプルサイズをそれぞれ入力します。

手順3:標本平均を入力します。この標本Aの場合数式は=AVERAGE(B2:B6)となります。蛇足ながらこの数式の意味はセルB2~B6の平均ということになりますので、サンプルの数などによって変動します。

手順4:標本分散を入力します。数式は=VARP(B2:B6)です。

手順5:平均偏差の平方和を入力します。標本分散×サンプルサイズのことですので、数式は=B9*B7となります。

手順5:推定母分散を入力します。数式は=(B10+C10)/((B7-1)+(C7-1))となります。

手順6:差の標準誤差の入力をします。数式は=SQRT(B11(1/B7+1/C7))です。SQRTはルート(平方根)です。ちなみに*はかけ算(×)と同じです。

手順7:t値を入力します。ここでは自由度は(標本Aのサンプルサイズ:5-1)+(標本Bのサンプルサイズ:5-1)=8となります。数式は=TINV(0.05,B7+C7-2)となります。

手順8:最後に差の信頼区間(確率95%)を入力します。下限値の数式は=(B8-C8)-B14*B12、上限値の数式は=(B8-C8)+B14*B12となります。



結果は-1.527205296~10.7272053となります。すなわち95%の確率で両群の母平均の真の差は-1.527205296~10.7272053の間にあるといえます。これは大腿四頭筋筋力強化群の歩行速度がトレーニング無し群と比べて10.7272053速くなるかもしれないし、逆に1.527205296遅くなるかもしれないという解釈になります。

また-1.527205296~10.7272053は0を含む範囲であるため差が0となる可能性もあり、つまり大腿四頭筋筋力強化群とトレーニング無し群では差がないという可能性があることになります。いわゆる統計学的に有意差は無いという状態ですね。信頼区間とt検定の間には密接な関係があります。実際にこのデータでt検定を行ったところ有意差はありませんでした。例えば差の信頼区間(95%)が3~10というように0を含まない場合、t検定でも有意差ありとなります。ただ有意差有りとするより、差の範囲が示してあるとわかりやすいため最近では信頼区間を記載することを求められているそうです。

エクセルに慣れていない方は数式等の入力方法がわからないかもしれませんが、決して難しいことをしているわけではないので、エクセルを少し使える方に聞いてもらえばにっこり教えてくれると思います。



(ちなみに上記実験データは全く架空のものですのでご注意ください)

2012年3月5日月曜日

ビタミンEの過剰摂取に注意

冨田先生より教えていただきました。

ビタミンE 取りすぎ注意 骨粗しょう症リスク高まる 慶大チーム
毎日新聞社 3月5日(月) 配信


ビタミンEを取り過ぎると骨粗しょう症を起こす危険があることを、竹田秀・慶応大特任准教授の研究チームが突き止めた。ビタミンEは、老化防止に有効とされる抗酸化作用があり、最も人気のあるサプリメント(栄養機能食品)の一つ。4日付の米科学誌ネイチャーメディシン(電子版)に発表した。

健康な骨は、骨を作る細胞と壊す細胞「破骨細胞」がバランス良く働いて維持される。ビタミンは骨の強度に関わり、特にビタミンDは骨粗しょう症の治療に活用されている。しかし、ビタミンEの働きは謎だった。

チームがビタミンEを取り込めないマウスを作って調べたところ、破骨細胞の働きが弱く全身の骨量が多いことに気づいた。そこで、破骨細胞を培養し、ビタミンEを加えると、破骨細胞が巨大化することを発見。解析すると、ビタミンEが破骨細胞の巨大化に必要なたんぱく質の合成を促していることを突き止めた。

さらに、正常なラットに毎日10ミリグラムのビタミンEを含んだ餌を8週間与えると、骨を壊す細胞の活動が高まり、骨粗しょう症になった。10ミリグラムは、人が1000ミリグラム摂取するのに相当し、主に海外で同量程度を含んだサプリメントが流通しているという。

厚生労働省が定めるビタミンEの摂取上限は年代、性別で異なるが、最大は30~49歳の男性で1日当たり900ミリグラム。食品では魚卵や植物油、ナッツ類に豊富だが、例えばアーモンドでも100グラム当たり約30ミリグラムで日常の食生活では問題ない。

竹田さんは「サプリメントの量ならば、骨がもろくなる可能性はある」と話す。



A、D、E、Kは脂溶性ビタミンで体に蓄積されると、国家試験(今年は昨日おわりました)を受けた時におぼえたような気がします。
自分はあまり飲みませんが、サプリメントも気をつけて摂取しないといけませんね。