2011年1月24日月曜日

上腕骨近位端骨折の早期運動療法

以前岡田先生より報告があった上腕骨近位端骨折の早期運動療法について10月号(上肢骨折治療基本手技)のオルソペディクスに発表がありましたので一部を紹介します。

いしぐろ整形外科 石黒隆先生の下垂位での早期運動療法について
整復操作にて上腕骨骨頭の骨折面と骨幹端との接触が得られるものであれば3part、4part骨折でも適応となる。(腱板自体の連続性は保たれているため動作筋としての機能は癒合してしまえば失われないそうです。)
脱臼骨折で骨頭が反転し徒手的に整復できないものは適応外となる。
転位のあるものはzeroポジションでの牽引を加えながら整復を試みる。上腕骨骨頭の骨折面と骨幹端との骨折面の接触が3/4以上得られれば問題ない。上腕骨骨頭が骨幹端に陥入しているものはそのままでも癒合がよい。
整復後は上腕下垂位とし三角巾(またはsling)とバストバンドを利用して固定する。骨幹端に対し上腕骨骨頭が内反している場合には薄めのタオルを腋窩にあてがい骨幹部中央を押さえるようにバストバンドで固定する。上腕骨骨頭が外反傾向にあるものでは腋に当てがうタオルを厚めとし、肘の部分を押さえるように固定する。4part骨折で大結節の転位が大きめのものに対しては肩関節中間位となるよう固定することもある。
受傷後1週から下垂位での振り子運動を行う。腕を下垂したまま、背中が床と平行になるまで前屈する。zeroポジションに近い体勢で、振り子運動をほぼ一日1000~3000回を目安とし、3~5度に分け一度につき10分間程度行う。昼間は三角巾のみでも問題ないが、夜間は三角巾とバストバンドにてしっかりと固定する。
6週後から腕の挙上運動を許可するが、はっきりした骨癒合が確認されていない場合には挙上の開始を1~2週間遅らせることもある。骨癒合が不十分な時期には決して他動的な可動域訓練を行わない。挙上運動は自動運動を中心に行う。
基本的に120度の可動域獲得を目指すそうです。自分たちがやっていたデゾー包帯固定(4~6週)では90度程度までの患者さんが多かった様な気がします。
このオルソペディクス10月号は保存療法にもスポットが当たっておりなかなか面白い記事が多いです。一度見てみてください。

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